津波が起こる仕組みを理解して被害を抑えよう

津波

津波が発生する仕組みや前兆

このページでは
津波が起こる仕組みと
津波が原因で発生する恐れのある被害について
説明します。

津波の発生状況

日本は世界有数の地震多発国ですが
さらに、四方を海に囲まれ海岸線が長く複雑なため
過去に何度も津波の被害にあっています。

日本付近の地震を発生源とする津波の他
日本から遠く離れた国外の地震を
発生源とする津波も発生しています。

東日本大震災の他にも
昭和35年に発生したチリ地震で起きた津波は
地球の反対側から一日かけて
日本の太平洋沿岸に津波が到達して
大きな被害が発生しました。

地震による津波以外では
江戸時代に、駒ケ岳や雲仙岳などで
噴火・山体崩壊に伴う津波が発生しています。

おもな津波は以下の通り(明治以降)

発生日 原因の地震 規模や被害等
明治29年6月15日 明治三陸地震 岩手県綾里(現・大船渡市)津波の遡上高38.2m
大正12年9月1日 大正関東地震(関東大震災) 最大波高は静岡県熱海で12m
昭和8年3月3日 昭和三陸地震 死者・不明者3,000人。
昭和15年8月2日 積丹半島沖地震(神威岬沖地震) 天塩で死者10人。
昭和19年12月7日 昭和東南海地震 津波の波高は熊野灘沿岸で8mに達する。
昭和21年12月21日 昭和南海地震 津波は静岡県から九州まで来襲、最高6m。
昭和27年3月4日 十勝沖地震 津波により、北海道厚岸郡浜中村(現・浜中町)南部が壊滅
昭和35年5月22日 チリ地震 地震発生1日後、日本の太平洋沿岸に津波襲来 死者・不明者142人
昭和58年5月26日 日本海中部地震 遠足中の小学生13名が死亡
平成5年7月12日 北海道南西沖地震 奥尻島で最大波高16.8m、遡上高が30mに達する
平成23年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 岩手県大船渡市の綾里湾で遡上高40.1m

津波が発生する仕組み

津波は、何らかの原因で
大量の水が突然大きく移動することで発生します。

具体的には
海底で発生する地震や噴火が原因で起こるものと
海岸付近にある山の崩壊により
崩れた土砂が原因で起こるものがあります。

また、ごく希に巨大隕石が海に衝突して
起きることもあります。
(この場合、地球の陸上生物は、致命的です。)

海水の変動の規模が大きくなればなるほど
沿岸に達したときの破壊力が大きくなるため
大津波となる恐れがあります。

日本は、四方を海に囲まれているため
数多くの津波の被害に遭っています。

津波は、沖ではほとんど感じられませんが、
港や湾など「津」(船着場や渡し場を示す港)に入ると高い波になるので
津波と呼ばれます。

海溝型地震(プレート型)の発生

海溝型地震(プレート型)の発生により
プレートの跳ね上がりで地震と同時に津波が発生する恐れがあります。
(リンク:地震への対応・海溝型地震(プレート型))

噴火・山体崩壊

海底火山の噴火、爆発や
海岸付近の山が崩壊した結果
崩れた土砂で津波が発生する可能性があります。

津波の前兆

津波の発生原因と発生場所により、
前兆がある場合とない場合があります。

津波と地震

地震が発生した場合は、
たとえ、自分のいる場所の揺れがほとんどなくても
津波が襲ってくる可能性があります。

ラジオやテレビ、ネットで
津波の有無の確認をしましょう。

津波警報が出た場合は、沿岸部にとどまらず
すぐに出来るだけ高台の土地に避難しましょう。

震源地と地形にもよりますが
津波が数分で襲ってくる場合もあります。

津波警報が出る前に
津波が到達する可能性がある地域では
警報を待たずに避難を始めないと
避難が間に合わない可能性もあります。
ご注意ください。

津波と水位

津波が来る前に水位が下がる(または上がる)
という現象が出るときがあります。

異常な速さで潮が引いたら
津波が来る前兆だと思ってよいでしょう。

この場合も、沿岸部にとどまらず
すぐに出来るだけ高台の土地に避難しましょう。

なお、引き潮で海底があらわになる様子は
滅多にみられることがなく
好奇心から観察したくなるかもしれませんが
絶対に近づいてはなりません。

前兆なし

震源地が遠いため、地震の揺れを感じず
さらに目立った海面の水位の変化がなくても
津波が襲ってくる場合もあります。

海底の地すべりが原因の場合は
いきなり襲ってくるかもしれません。

海の近くにいるときは
いつ津波が来てもいいように
避難の方法を
頭の片隅においておきましょう。

津波の特徴や起こりうる被害

津波の特徴

津波と高波の違い

津波は、高波とは性質が異なるものです。

高波(波浪)は、風による海面付近の海水だけの動きですが
津波は、海底から海面までの全ての海水が動きます

このように、津波と高波では
動きの範囲がまったく異なるため
津波が押し寄せたときのエネルギーは強大です。

海水が巨大な水の塊となって沿岸に押し寄せるため
強い力で建築物を破壊し尽くし、
さらに漂流物を一気に海中に引き込みます。

津波は、普段の海の波のイメージとは
まったく異なるものである、ということを
理解しておく必要があります。

津波の波の高さ

海底地震により発生した津波は
陸の近くまで押し寄せながら
水深の深さが浅くなればなるほど
波の高さが高くなります。

例えば、外洋での波高が数メートル程度でも
湾内に入ると数十メートルの高さになる恐れがあります。

さらに湾の形がV字になっていると
陸上の高い所まで駆け上がり大きな被害になる可能性があります。

例えば、リアス式海岸の三陸沿岸の各港では
V字の形の湾が多く
たびたび津波の被害を受けています。

岩礁、湾、河口などの特徴や海底の構造で
波の高さが大きくなったり小さくなったりします。

津波の移動速度

水深が深い外洋では、
最高時速800キロで移動すると言われています。

昭和35年に発生したチリ地震は
地震の規模がマグニチュード9.5の巨大地震でしたが
発生した津波は太平洋一帯に広がりました。

ハワイには15時間後に約10mの大津波が
日本には翌日の明け方に
高い所では5mの大津波が
ジェット機並みの速度で伝わりました。

(チリ地震の水位を標識にして町中に設置)


画像引用:
岩手県大船渡市役所ホームページ
第1部_東日本大震災について
https://www.city.ofunato.iwate.jp/uploaded/attachment/9461.pdf

ジェット機並みの速度でも
深さが浅くなればなるほど
スピードは遅くなりますが
その分、波の下部よりも上部の方が速く動くため
海面は急上昇してより多くの被害を
発生させてしまう恐れがあります。

津波は繰り返し打ち寄せる

津波は、繰り返し打ち寄せる性質があります。

最初の波は、押し波、引き波のいずれの可能性もあり
第一波よりも第二波や第三波など
後から来襲する波の方が高いケースもあります。

次の津波まで1時間の間隔がある場合もあります。

津波警報・注意報が解除されるまでは
次の津波が来る恐れがあります。

満潮と大潮の津波への影響

同じ高さの津波でも、
大潮の時には潮の干満の差が大きくなるため
満潮時の潮位が高くなり
津波も大きくなる危険性があります。

津波による被害

津波による浸水

津波により沿岸部や河口付近は
街全体がのみこまれるような浸水が発生する恐れがあります。

また、高台を囲んで背後から波が回り込んだり
地形を駆け上がったりします。

このように、津波が海の方向以外からも
押し寄せてくることに注意する必要があります。

津波による建物等の倒壊・流出

津波のエネルギーは大変に強力で
浸水することで建物が倒壊したり流出したりする可能性があります。

津波の波高が高くなるほど
建築物に被害が出る可能性があります。

例えば、木造家屋は
波高が2メートルを超えると
全面破壊すると言われています。

鉄筋の建物でも
倒れたり流されたりする場合があります。

津波に襲われた倒壊した建物や自動車などは
漂流物になって、さらに被害を広げていきます。

気象庁ホームページ「津波波高と被害程度(首藤(1993)を改変)」より) http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html

漂流物による被害

津波により、船舶や車両などの漂流物による被害が出る可能性があります。
漂流物が建物や人に衝突する被害や、道路を塞いで遮断してしまうといった被害が出ます。

津波火災

津波によって浸水した地域に発生する
二次災害(複合災害)に火災があります。

例えば、損壊した石油タンクから漏れ出した油が
津波で移動し、何らかの原因で着火、火事になるケースや
流れ出した車のバッテリーが海水につかることでショートして
爆発・火災が発生した例もあります。

津波火災は、津波による消防車両の被害や道路寸断なども起こるため
消火活動がきわめて困難である場合が多いです。

東日本大震災の際も大規模な津波火災が発生し
消火活動に時間がかかりました。

自宅など、普段いる場所が
津波地震に巻き込まれる可能性がないか
予め調べておくとよいでしょう。

以上が、津波が起こる仕組みと
津波が原因で発生する恐れのある被害の説明でした。

さて、これらの知識を前提にして
津波からの避難と備えについて
考えてみましょう。

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