火山活動が起こる仕組みを理解して被害を抑えよう

火山

火山活動が発生する仕組みや前兆

このページでは
火山活動が起こる仕組みと
火山活動が原因で発生する恐れのある被害について
説明します。

火山活動からの避難と備えについては
こちらのページを御覧ください

火山活動の発生状況

日本の活火山

日本には、世界の活火山(1551山)のうち
約1割(110山)を占め、世界有数の火山大国です。

活火山とは
・過去1万年以内に噴火した火山
・現在活発に噴気活動している火山

そのうち、気象庁により47火山が
「火山防災のために
 監視・観測体制の充実等が必要な火山(常時観測火山)」
とされています。

日本の火山活動

大型のカルデラを形成する巨大噴火は
7000年前より発生していません。

大規模噴火(噴出量10億m3以上)が
概ね100年に一度発生しています。

最後に大規模噴火が発生したのは
桜島の大正噴火(1914年)になります。

東日本大震災の後の日本は
火山活動が活発であった
9世紀の状況に似ていると言われています。

出典:大規模火山災害対策への提言・参考資料,
  内閣府・広域的な火山防災対策に係る検討会,H25.5

おもな火山災害は以下の通り(明治以降)

発生日 火山名 被害の概要
明治21年7月15日 磐梯山 大泥流により山麓の村落が埋没。死者461
明治33年7月17日 安達太良山 火口の硫黄鉱山施設、山林耕地施設に被害。死者72
明治35年8月7日 伊豆鳥島 中央火口丘爆砕。全島民125名死亡
大正3年1月12日 桜島 溶岩流出、村落埋没、焼失。地震鳴動顕著。死者58
大正15年5月24日 十勝岳 大泥流発生。2ヶ村村落埋没。死者144
昭和15年7月12日 三宅島 噴石弾、溶岩流出。死者11
昭和22年8月14日 浅間山 噴石により死者11
昭和27年9月24日 ベヨネース列岩 海底噴火。観測船第5海洋丸の避難により全員(31名)死亡
昭和33年6月24日 阿蘇山 噴石により死者12名
昭和37年6月29日 十勝岳 死者4、行方不明1
昭和49年6月17日,8月9日 桜島 土石流で死者8
昭和49年7月28日 新潟焼山 噴石により死者3
昭和52年8月〜昭和53年10月 有珠山 泥流、降灰砂、地盤変動。死者3。有珠新山生成
昭和54年6月7日 阿蘇山 死者3、負傷者11
昭和58年10月3日 三宅島 溶岩流出、阿古地区家屋焼失・埋没394棟
昭和61年11月15日〜12月18日 伊豆大島 12年ぶりに噴火。全島民等約1万人が島外避難
平成2年11月17日〜 雲仙岳 火砕流により死者41、行方不明3
平成12年3月31日〜平成13年6月28日 有珠山 爆発により火口群形成
平成12年6月25日〜平成17年3月31日 三宅島 噴石。火砕流を伴う噴火。大量の火山ガス。全島避難
平成23年1月19日 新燃岳 爆発的噴火による空振が発生
平成26年9月27日 御嶽山 水蒸気爆発による噴火、死者58、行方不明者5
平成27年5月29日 口永良部島 噴火により全島避難

引用:内閣府防災のページ III わが国の主な火山災害に追記
http://www.bousai.go.jp/kazan/taisaku/k3.html

火山が噴火する仕組み

日本列島では
太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みで
火山活動が発生しています。

海水を含んだプレートがマントルの中に沈み込むと
岩石の融解を促してマグマになり火山活動を起こします。

メカニズムは以下のとおりです。

地下にマグマが出来る

1) 海水を含んだ海のプレートが大陸の下にもぐり込みます。
2) もぐり込むとき、水分の働きでマントルの一部がとけてマグマになります。

火山ガスが吹き出す

3) マグマは比重が軽いので地下の浅いところまで上がってきます。
4) 浅いところでは周りの圧力が下がるので火山ガスの成分が泡になります。
5) 火山ガスが泡になると地上まで上がろうとする力が強くなります。
6) さらに圧力が下がりマグマが一気に上昇、河口を押し開いて噴火します。

火山活動の前兆

マグマの上昇により噴気が増えたり
岩盤が割れて地震が発生したり
山を膨張させて地形の変化を起こすことがあります。

これらを観測することで
火山活動の変化を知ることが出来ますが
実際に噴火するかどうかは
はっきりと判断出来るわけではありません。

気象庁の発表する噴火警戒レベルで
火山の状態の大凡を知ることも出来ます。
(噴火警戒レベルは当ページで説明)

火山の特徴や起こりうる被害

火山の特徴

火山の分布

日本の火山は、プレートの境目にほぼ並行に分布しています。

火山の構造

マグマと溶岩

地上に出るまでマグマだったものは、地上に出て溶岩になります。

側火山

マグマが上昇するとき
山の中の複雑な地層や岩盤が影響して
火道が枝分けれして山腹から噴火する場合があります。
これを側火山、または寄生火山と呼びます。

温泉

地下水がたまってるところが熱せられると温泉になります。
日本には沢山の温泉があります。

火山噴出物の種類

火山の噴火で、石や岩石、溶岩や灰やガスなど様々なものが吹き出します。
これらを火山噴出物と呼びます。

噴石

大きさが直径2mm以上の岩石片を噴石といいます。
特に直径50cm以上のものは大きな噴石といい
大きいがゆえに風の影響を受けず
弾道を描き2~4km先まで飛んで短時間で落下します。

火山灰

大きさが直径2mm以下の岩石片を火山灰といいます。
火山灰は遠く数百km先の地点まで飛散し
時間をかけて地上に降下・堆積します。

降下は、火山に近いところで数分程度
富士山が噴火した際には
噴火から数時間後~翌日に降下すると言われています。

溶岩流

マグマが噴出して地表に流れ出る現象を溶岩流といいます。
速度は非常に遅いため基本的には歩いて避難可能です。

火砕流

数百度の非常に高温な火山灰や岩塊、火山ガスなどが一体となり
斜面を急速に流れる現象のことを火砕流といいます。
速度は時速数十kmから数百kmを超える速さです。
火砕流から身を守ることは、非常に困難とされています。

火山泥流・融雪型火山泥流

噴出された岩石や火山灰が堆積しているところに
大雨が降ると周辺の土砂や岩石を巻き込みながら高速で流れ下りる現象です。
速度は時速60kmを超えることがあります。

火山ガス

マグマに溶けていた二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素などの成分が
火山ガスとなって外に放出されます。
火山ガスは空気より重いため谷筋や窪地等にたまります。

大地震との関係

大地震と火山噴火は関連している可能性があり
地震発生の数年後に噴火するケースもあります。

火山による被害

健康被害

火山灰を吸い込んだことが原因で、
せきや息苦しさ、のどが痛くなるなどの症状が出てきます。
放出された火山ガスによりガス中毒の症状が出ます。
噴石の直撃により殺傷されてしまう恐れがあります。

火災

溶岩流、火砕流が原因で火災が発生する恐れがあります。
通過したエリアは、のきなみ消失、埋没します。
鉄筋の建物までも、破壊されてしまう可能性があります。

建築物の倒壊

噴石の直撃の影響で、建築物の倒壊が発生します。
火山灰の降下・堆積により木造建築物の屋根が潰れる恐れがあります。
火山泥流により広範囲の建築物が破壊されます。

電気製品

火山灰の吸い込みが原因で
エアコンやガス給湯器などが故障の原因になります。

航空機事故

火山灰の吸い込みが原因で
航空機のエンジンが故障し事故の原因になります。

交通網の麻痺

火山灰により自動車のスリップ事故が発生しやすくなります。
火山泥流により道路や線路などのインフラが破壊されます。
火山灰により航空も麻痺します。

農作物への被害

火山灰や火山ガスにより農作物に被害が発生します。
火砕流、火山泥流が発生すると作物は消失してしまいます。

以上が、火山活動が起こる仕組みと
火山活動が原因で発生する恐れのある被害の説明でした。

さて、これらの知識を前提にして
火山活動からの避難と備えについて
考えてみましょう。

次のページを御覧ください。

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