地震が起こる仕組みを理解して被害を抑えよう

地震

地震が発生する仕組みや前兆

このページでは
地震が起こる仕組みと
地震が原因で発生する恐れのある被害について
説明します。

地震の発生状況

日本は、ご存知の通り、世界有数の地震多発地域です。
具体的には、2003年から2013年までに世界で発生した
マグニチュード6以上の地震(1758回)のうち
約2割(326回)が、我が国周辺で発生しています。(*1)

さらに、気象庁発表の資料をみると
1997年から2020年までの間に発生した
震度6以上の地震は35回です。(*2)
(うち震度7は、4回もあります。)

おもな地震は以下の通り(1997年以降)

発生日 名前 震度
平成30年 9月 6日 平成30年北海道胆振東部地震 震度7
平成28年 4月14日~ 平成28年熊本地震 震度7
平成23年 3月11日 平成23年東北地方太平洋沖地震 震度7
平成20年 6月14日 平成20年岩手・宮城内陸地震 震度6強
平成19年 7月16日 平成19年新潟県中越沖地震 震度6強
平成19年 3月25日 平成19年能登半島地震 震度6強
平成16年 10月23日 平成16年新潟県中越地震 震度7
平成15年 9月26日 平成15年十勝沖地震 震度6弱
平成13年 3月24日 平成13年芸予地震 震度6弱
平成12年 10月 6日 平成12年鳥取県西部地震 震度6強

(*1) 国土交通省 国土が抱える災害リスク https://www.mlit.go.jp/river/bousai/library/pdf/kokudo.pdf
(*2) 気象庁発表の日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/higai1996-new.html

地震が発生する仕組み

地震には、2つの発生メカニズムがあります。
・海溝型地震(プレート型)
・内陸型地震(活断層型)
があります。

地球の表面は、プレートと呼ばれる
厚さ数10kmの岩盤で覆われています。

プレートは1枚ではなく、十数枚に分かれて
地球の全表面を包んでいるのですが
それぞれのプレートは、地下のマントル対流により
各々違う方向に、年間数cmの速さで移動しています。

その結果、プレート同士が
ぶつかったりひっぱったりして
プレート同士の境界や内部の岩盤に
ずれが生じて地震の発生の原因になります。

ここでは、地震の原因となっている大元である
日本列島を構成するプレートについてと
地震発生のメカニズムである
海溝型地震(プレート型)、内陸型地震(活断層型)の
簡単な説明をします。


(出典 国土交通省 国土地理院 地震国日本と活断層)
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html

日本列島を構成する4つのプレート

日本列島は以下の4つのプレートで構成されており
複雑なエネルギーの押し合い引き合いで
多くの地震を発生させています。
・北米プレート    (北海道、東日本)
・太平洋プレート   (三陸沖)
・フィリピン海プレート(太平洋)
・ユーラシアプレート (西日本)

プレートの図

(出典 気象庁 日本周辺で地震の起こる場所)
https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/explanation.html

海溝型地震(プレート型)

関東大震災、十勝沖地震、東北地方太平洋沖地震はこのタイプです。

発生の理由

1) 海側のプレートが、陸側のプレートの下部に潜り込む。
2) 陸側のプレートも、海側のプレートに引きずり込まれる。
3) ひずみが限界に達して、陸側のプレートが元に戻ろうとする。
4) 陸側のプレートが跳ね上がり、地震が発生する。
5) このとき、地震と同時に津波が発生する場合もある。

内陸型地震(活断層型)

阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、平成28年熊本地震はこのタイプです。

発生の理由

1) プレート同士の押し合いなどで岩盤がひずむ。
2) ひずみが限界に達して、ずれが生じる。
3) ずれ動いた結果、断層となり、地震が発生する。

活断層について

・現在も活動する可能性が高い断層は活断層と呼びます。
・日本には活断層が2000箇所以上あると言われています。
・活断層がある場所では、いつ地震が起きてもおかしくありません。

活断層の種類

・正断層型    上下に圧縮 / 左右に引っ張り
・逆断層型    上下に引っ張り / 左右に圧縮
・横ずれ断層型  四方から圧縮と引っ張り


(出典 国土交通省 国土地理院 地震国日本と活断層)
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html

地震の前兆

地震が発生する仕組みにもあるように
地震の発生は、岩盤のひずみが
ある一定の限界を超えたときに発生します。

しかし、現在の人類の力では
限界値を明確に捉えることは出来ません。

地震雲や地鳴り、火山の噴火など
予兆とされるものもありますが
どれも確実な地震の前兆とするには
まだ不明な点が多いようです。

また、仮に確実な前兆だとしても
その地震の発生が、今日なのか明日なのか
来年なのか、100年後なのか
測定する科学的な材料もありません。

地震はプレートの動きにより
少しずつ歪がたまり、限界まで達したとき
地震が発生すると考えられるので
同じ地域で、同じぐらいの周期に
繰り返し起きる傾向があります。

その傾向を利用して
過去に起きた地震の歴史を分析しながら
予知するぐらいしかないのが現状です。

地震の特徴や起こりうる被害

地震の特徴

津波の発生

海溝型地震(プレート型)の場合は
津波が発生する場合があります。

東日本大震災では大津波が押し寄せて
大変な被害が出てしまいました。

前震-本震-余震

地震が発生すると
その地震が発生した場所の周辺では
地震が発生しやすくなります。

一連の地震のなかで最も大きな地震を本震といい
それに続く地震を余震といいます。

本震の前にも地震が発生することもありますが
それは前震といいます。

本震で大地や家屋にダメージが入り
余震で倒壊したり土砂崩れが発生するということもあります。

地震の後は
次の揺れが来る可能性に注意しながら行動しましょう。

なお、余震は、数か月、あるいは数十年に渡って続く場合もあります。

地震の揺れの特徴

地震のエネルギーは
地中を波で伝わり地上に達すると揺れになります。

地中は様々な地層で構成されているため
波も複雑な動きを繰り返しやすく
同じ地震でも場所によって揺れの大小があります。

柔らかい地層は地震のエネルギーを増幅しやすく
硬い地層は増幅しにくいと言われます。

震度が深い場合は
震源地とはまったく別の場所が揺れるような現象も発生します。

日本の地震発生原因の傾向

内陸型地震(活断層型)が多いと言われていますが
海溝型地震(プレート型)も少なくありません。

地震による被害

地震の揺れにより被害を受けやすい箇所が多く見受けられます。
・山岳地帯は複雑な地形が多く崩落しやすい
・大都市区域のほとんどが沖積層の上にあるため地盤が軟弱

地震による津波

海溝型地震(プレート型)の地震により
津波が発生する場合があります。

一般的に震源が約80kmよりも深ければ
海底は変形せず津波は起こらないと言われています。

また海底地すべりによる影響で
津波が発生する場合もあります。

地震による地すべり

斜面の土砂や岩の塊が広い範囲にわたって
地面ごとすべり落ちていく現象を地すべりといいます。

地すべりは、どこでも発生するものではなく
その場所の地形や地質、地質構造、地質状態などの条件が揃うと
地すべりが発生しやすい状態になり、
地震の揺れをきっかけにして地すべりの発生となります。

地すべりの被害が発生すると
家や田畑、道路などの交通網のすべてが被害を受ける可能性があります。

特に地震を原因とした地すべりには
高速に土塊が移動する場合があります。

自宅や普段いる場所が
地すべりの被害を受けやすいかどうか
ハザードマップなどで調べておきましょう。

地震による屋内の被害

ガラスが割れたり、家具の転倒や落下物が発生します。
ストーブが倒れて火事を引き起こします。

地震による家屋倒壊

地震の揺れにより建物が
倒れたり、壊れたり、傾くなどの被害が出やすくなります。

建築基準法の耐震基準が出来る前の
耐震対策を行っていない木造家屋や
シロアリの被害で体力を失ってしまった家は
家屋倒壊の被害にあう可能性が高くなります。

設計の不備や増改築で
壁配置のバランスが崩れていたり
構造に無理がある場合も倒壊しやすいと言われています。

阪神淡路大震災では多大な人命が奪われましたが
その多くは建物倒壊等による死亡と言われています。
耐震化は急務といえるかもしれません。

地震による液状化現象

地下水位の高い砂地盤が
振動で個体から液体化する現象を液状化現象といいます。

都市化が行われる以前が
砂丘や埋立地、河川や水田だった場所は
該当地域が多く、液状化の可能性があります。

液状化現象が起きると
重たい構造物は沈み込んだり埋もれたり
軽い下水管などは浮き上がったりします。

東日本大震災では
多くの場所で液状化被害が発生しました。

液状化現象の発生危険箇所をとりまとめた
ハザードマップを確認しておきましょう。

地震によるライフライン寸断

上下水道

断水が発生する可能性があります。
下水道も処理施設や稼働停止になったり
排水管が被災する可能性があります。

東日本大震災では復旧に一ヶ月以上かかった地域もありました。
(3週間で80%, 一ヶ月で94%)

電気

停電が発生する可能性があります。
地震の被害がない地域でも
大規模停電の影響を受けたり、
電力不足による計画停電の影響を受けることもあります。

東日本大震災では復旧に8日以上かかった地域もありました。
(3日で80%, 8日で94%)

ガス

ガスの供給が停止する可能性があります。

通信

固定電話、移動電話ともに不通になる可能性があります。
地震の被害がない地域でも
緊急時の通信規制があると
つながりにくくなる可能性があります。
公衆電話の無料開放がなされる場合があります。
パケット通信やインターネット回線は
音声回線とは別のネットワークとなっているので
音声がダメでもネットはOKの場合があります。

交通

路線の被災で通行止めになる可能性があります。
交通手段が寸断され
陸の孤島となってしまう可能性があります。

地震による火災

大きな地震が発生した時には
火災が発生するおそれがあります。
同時に多くの場所で発生した場合や
交通手段の寸断など他の被害が重なると
消火活動が困難な状態になる可能性があります。

通電火災

停電からの復旧後の再通電時に出火する
「通電火災」の発生の可能性があります。
通電火災の発生時は
住民が避難している可能性が高く
出火時の初期消火が行えないおそれがあります。

以上が、地震が起こる仕組みと
地震が原因で発生する恐れのある被害の説明でした。

さて、これらの知識を前提にして
地震からの避難と備えについて
考えてみましょう。

タイトルとURLをコピーしました